所蔵品紹介
狩野永徳 筆 「老萊子図」
(桃山時代)
絹本着色 掛軸・1幅
狩野永徳 筆 「老萊子図」
狩野永徳は、狩野松栄の長男、狩野元信の孫として京都に生まれ、桃山時代の狩野派の棟梁として天下人であった織田信長や豊臣秀吉に仕え、桃山期の巨匠として、多くの城郭、寺社などの障壁画などを制作した。
雄大なスケールをもつ大画形式のものから、繊細で緻密に描かれた細画形式の絵まで、幅広い制作も行った。
本図は、中国・元時代の郭居敬が古来からの二十四人の孝行息子を紹介した『二十四孝』の中に登場する「老萊子」を描いたもの。
老父母に孝行を尽くし、七十歳になっても、老父母の前で幼児のように振舞って、楽しませたという人物。
画中に捺される永徳の大型の「州信」印は、彼の初期作としてみなされていて、絵は小品ながら、人物や景物が謹直な描線で微細に描き込まれた細画形式の優品。川崎造船所創業者であった川崎正蔵旧蔵品。